定期的に、全部脱ぎ捨てたくなる。弱さを求められたとき、共感を要求する空気に飲まれそうになったとき、誰かのために生きる余裕が底をついたとき、私は男装をする。
ブーツを履くと、私は178センチになる。小さい頃から研究してきた男役の所作が、自然と出る。ものすごく男臭い。もちろん胸もないしデカくなるから、男社会の中で、私は女として特別扱いされなくなる。庇護下でいることを許してもらえない。年上の男性は私を弟分のようにかわいがってくれる。もちろん弱い個体は、男女関係なく私に寄りかかってくる。それが、妙に心地いい。男兄弟の長女だからというのもあるだろう。
面白いのは、男装して満足したあとの話だ。私は毎回、可愛い服よりも女性性を意識した髪型や服装を選ぶ。脱ぎ捨ててみてはじめて、自分が何を着ていたか分かる。女でいることに、私は少し自信を持てる。
男装は変身ではない。女である自分に戻ってくるための、私だけの儀式だ。
あなたにも、定期的に脱ぎ捨てないと保てないものがありますか。


