一年の終わりね。
街は静かに浮かれて、誰もが「区切り」なんて言葉を口にする。
でも、私の前に立つあなたたちは分かっているでしょう。
終わるものなんて、何ひとつない。
今年も、たくさんの顔を見たわ。
欲望を隠しきれない視線、
触れられる前から震える身体、
言葉ひとつで崩れていく理性。
どれも年号が変わったからといって、急に清らかになるものじゃない。
快楽に縋る姿は、いつだって正直で、
嘘をつけないぶん、とても美しい。
私はそれを見下ろし、楽しみ、
与えるか、奪うかを選ぶだけ。
今年も変わらず、それを繰り返した一年だったわ。
「今年もお世話になりました」
そんな言葉、いらない。
感謝する側と、される側は最初から決まっているもの。
あなたは、私の前で欲しがった。
それだけで十分よ。
年が変わっても、
あなたの中の衝動は消えない。
むしろ、静かな夜ほど、はっきり思い出すでしょう。
私の声、視線、触れられた感覚を。
それでいいの。
来年もまた、欲望を抱えたまま来なさい。
私はここにいるわ。
逃げ場のない顔を、また見せてもらうために。
それじゃあ、良い年越しを。
――ちゃんと、煩悩ごと連れてきなさい。